
【KAGUWA TEA JOURNAL - vol.2】
「紅茶を美味しく淹れるポイント_①水の硬度について」
紅茶を美味しく淹れるポイント
紅茶の淹れ方にはさまざまな意見があります。
「水は硬水が美味しい」「軟水が美味しい」といった主張があったり、抽出時間についても「1分がベスト」という人もいれば「5分が良い」という人もいます。
特に紅茶といえばイギリスのイメージが強いため、「硬水のほうが適しているのでは?」と思われがちです。
しかし、すべての茶葉に対して「これが正解」という淹れ方は存在しません。
紅茶の味わいは、どのように楽しみたいかや茶葉の特性によって変わるためです。
そこでKAGUWA TEA JOURNALでは、「美味しい淹れ方」ではなく、「美味しく淹れるためのポイント」を5回にわたって論理的にご紹介します。
紅茶を淹れる際に、以下の5つの要素が香りや味わいに大きな影響を与えます。
- 水の硬度
- 水の温度・沸かし方
- 茶葉とお湯の量の割合
- 抽出時間
- 器の素材・形状
今回は「水の硬度」について解説します。
-水の硬度とは?
水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量を指し、一般的に硬度が低い水を「軟水」、硬度が高い水を「硬水」と呼びます。
ミネラル成分は紅茶の成分と反応し、水の硬度によって味や香りに違いが生じます。
-水の硬度で紅茶の香りや味わいにどのような違いがでるの?
香り
- 軟水:紅茶本来の繊細な香りが際立つ
- 硬水:ミネラルが香気成分と結合し、香りが抑えられる
*硬水中のカルシウム・マグネシウムが茶葉の香り成分(リナロール、ゲラニオール)と結合し、香りの揮発を抑制するため
味わい/ボディ
- 軟水:軽やかで柔らかい口当たり、甘みが引き立つ
- 硬水:渋み・苦味が強くなり、口当たりが重くなる
*カルシウムやマグネシウムが紅茶の渋み成分であるポリフェノール(タンニンやカテキン)と結びつくことで、溶解性が変化し、より多く抽出される
*マグネシウムは酸化反応を促進するため、より多くのテアフラビンやテアルビジンが生成され、渋みや苦味が強くなる
水色(茶液の色のこと)
- 軟水:明るく澄んだ赤色になりやすい
- 硬水:濃く、黒っぽく濁りやすい
*ミネラルが紅茶の色素(テアフラビン、テアルビジン)と反応し、濁りや黒みが強調されるため
向いているお茶
- 軟水:繊細な香りを楽しむダージリン、和紅茶、ストレートティー向け
- 硬水:コクのあるアッサム、セイロン、ミルクティー向け
*硬水はボディ感を強め、軟水は繊細な香りや甘みを活かすため
-なぜ意見が割れているの?
紅茶の楽しみ方によって、適した水の種類が異なるためです。
例えば、ミルクティーの場合、硬水を使うとボディがしっかりとしてコクのある味わいになりますが、軟水ではやや物足りない印象になります。
「イギリスで飲んだときは美味しかったのに…」と感じることがあるのは、この影響です。
一方で、ダージリンや中国茶、和紅茶のように香りを楽しむ紅茶では、軟水を使うことで香りがより際立ちます。
逆に硬水を使うと、香りが抑えられ、持ち味が十分に発揮されません。
-日常生活での活かし方
日本の水道水は、ほとんどの地域で軟水(平均50mg/L)です。そのため、KAGUWAの和紅茶は水道水で美味しく抽出できます。
一方で、ミルクティーをしっかりした味わいにしたい場合は、エビアン(硬度300mg/L)などの硬水を試してみるのもおすすめです。
*WHO(世界保健機関)では、硬度120mg/L未満を軟水、120mg/L以上を硬水と定めています。ロンドンの水道水の硬度は平均275mg/Lです
今回は「水の硬度と紅茶の抽出の関係」についてご紹介しました。
市販のミネラルウォーターのラベルには硬度が記載されています。ぜひチェックして、お好みの紅茶に合う水を選んでみてください。
KAGUWA TEA JOURNAL では、ティーソムリエ監修のもと、和紅茶にまつわる豆知識を発信していきます。
品種の違いや香りの魅力、美味しい淹れ方など、知るほどに深まる和紅茶の世界をお届け。
和紅茶の魅力をもっと楽しむためのヒントを、ぜひチェックしてみてください。